ソムチャイ:王室と軍は何で仲良い関係なんでしょうか?
五郎:ソムチャイさんはあまり歴史が好きじゃあないからなア、今まで関心がなかったんだよ。
ソムチャイ:そうですね、私も日本に留学して初めて分かりました。日本では小学校・中学校・
高等学校と歴史を良く教えてますよね。
五郎:現代史が少々手薄だけどね。歴史は必須科目だ。一時、世界史を教えない学校もあって
問題になった事があるけどね。
ソムチャイ:日本に比べるとタイの小・中学校は歴史をあまり教えていないですね。
五郎:歴史を学ぶと、その国の国民が歩んできた道や世界との関係が分かってくる。
学校教育では大事な科目だね。タイの場合、王室はなぜ存在しているのか・・・、
なぜ崇高なる権威を持っているのか・・・・。歴史を学ぶとその辺の根本問題が透けて見るようになる。
ソムチャイ:国民はもっと王室の崇高さや尊厳さを知る必要がありまよね。
五郎:ソムチャイさん、そうハナから気持ちが先行したら話にならないよ。
王室と軍がなぜ仲良いかと言うナゾも解けなくなる。
ソムチャイ:分りました。
五郎:元々ね、王室は自分で軍隊をもっていた。プロの集団や農民から徴集した兵隊で軍を構成したんだ。
雇い兵を持つ場合もあった。プロの集団だけで軍隊を作るのはお金がかかるからね。
先ずは、軍隊の基本組織をプロの集団で固め、イザと言う時のコマである兵隊は国民から徴集
する。一番安上がりにできる。
ソムチャイ:宿舎やら、食事やら、装備、給料を考えると確かに大変ですね。それに飛行機、艦艇、
武器・弾薬、戦車や輸送車両を考えると軍隊にかかるお金は膨大ですね。
五郎:だろう!王室の財産で賄うにはお金がかかりすぎる。近代国家では国民から集めた税金で軍隊を
編成し、飛行機だの艦艇だの武器・弾薬を買うという仕組みになっているんだ。
軍隊が王室の財産で賄われるんじゃなくて国民の税金で賄われるようになると軍は独立性を
持つようになる。軍備に使われる膨大な国家予算に影響力を持つようになる。
飛行機はどこから何機買うか、潜水艦はどうするか1機・1艦で何百億円だからね。
ソムチャイ:そうですね、それでそういうのって軍が勝手に決められるんですか?
五郎:そうしたい向きもあるだろうけど、国税を使うとなると国会で決議するというプロセスが必要になる。
まあ、国民もアホじゃないからね。