五郎:タイで病気になった時のことを聞かせて欲しい、って「書き込み」あったよ。
ソムチャイ:病気にはなりたくないです。
五郎:まぁね。特にタイではね。
ソムチャイ:五郎さんの上司の方がタイに来た時入院した、と言ってたじゃないですか?
五郎:あア、本社からね。偉い人が・・・。
結論言えば単なる風邪だったんだけど、旅行者保険に入っていたからね、スクムウィットの病院
に行ったよ。高度治療で有名な病院だ。
ソムチャイ:スクンウィットのどの辺ですか?
五郎:ソイの5か3だったね。
ホテルの部屋で動けなくなった上司が「救急車呼んでくれ」と言うんだ。
咳と熱がひどくてね、ホテルの部屋の毛布、全部かぶっても震えが来てたな。
ところが、救急車なるものがなかなか来ない。「催促しろ」というから何度も電話したよ。
病院側は「もうとっくに出ています」というばかり、蕎麦屋の出前だね。
上司には私がトロイからだと思われた。
ソムチャイ:どうなったんですか?
五郎:予定より40分くらい遅れて到着。「渋滞で・・・」で終わり。
病院へ向かう道はそんな訳で、裏道・裏道を通って行ったけど、かかった時間は変わらなかった。
夜の8時過ぎだったかな、病院の受付でパスポートと「旅行者保険証」出したよ。
もう慣れたもんだね、手際よくベッドに寝かせて、すぐに当直の医師が来た。
あれこれ診察が始まって、ドクターが本人に質問する。で、私が英語で通訳した。
ソムチャイ:ドクターは英語が話せたんですか?
五郎:タドタドしかったけど。
そのうちタイ語でベラベラ始まった。私がタドタドしいタイ語と日本語の通訳していると、
あんたじゃだめだ、って通訳を呼んだんだ。夜でも病院に常駐している日本語・タイ語の通訳で、
えらい美人だった。タイ人で日本語べらべら。
ソムチャイ:すごいですね。
五郎:私の上司は通訳兼看護の女性が来たとたん、すっつかり顔色が良くなって、そのうち手を握ってもらった
りして病気どころじゃない。鼻の下がビローンとなっていた。
ソムチャイ:・・・・?
五郎:待たされた私にはコーヒーが出てきたし、クッキーなんかもあったな。
廊下は広々。診察室は広くてきれい。外へ出て病院を見たら、ネオンが光っていた。
5ツ星ホテル以上だったな。記念写真撮ったよ。
実際のとこ、美人通訳が出てきたところで勝負はついていた。
私の上司は、タクシーと歩きでホテルに帰った。
ソムチャイ:外国から難しい手術にタイの病院を訪ねる人が多いそうです。順番を待たずに済むからって。
臓器移植なんか、盛んです。・・・そこの病院がしてくれるかは知りませんけど。
五郎: 「闇の子供たち」という映画があったな。心臓は売れないけど・・・、生活のために臓器を売る。
それを目当てに外国から金持ちがタイの病院に来る・・・。どうも暗くなるなぁ、こういう話は。